SES営業と言えば「人売り」「人出し」と表現されることもあります。
本来SESとは、SEの能力を契約の対象とします。
もちろんSES会社によってその質は様々ですが、技術者のスキルを売り込むのではなく、ただ人員だけを売っているような会社では営業の離職率もかなり高いのが事実です。
ここでは、
- そんな営業を続けることに嫌気がさしてしまった方
- もっとやりがいのある仕事をしたい
と考えるSES営業の方に、異業種でおすすめの転職先をご紹介したいと思います。
SES営業がなぜつらいか
SESの営業を辞めたいと考えている人の多くは、
・今の会社が「人売り」をしている
・「営業」と言えるほどの仕事をしていないかも
・突発的なトラブル対応がきつい
・将来が見えにくい
と感じている人が多い傾向にあります。
人売り営業が嫌だ
先にも書いた通り、本来SESはSEの能力を契約の対象とします。
しかし、規模の小さい会社などでは、能力よりも人員をどれだけ出せるかということに偏ってしまっている場合が多くあります。
エンジニアの能力を無視した形で人を売っている営業になってしまっているということが、SES営業にありがちな転職理由です。
営業としてのスキルが身に付かない、やりがいがない
さらに、営業という肩書はあっても営業としての力を身に付けにくい仕事です。
なぜならば、
- SESの営業は基本的に御用聞きであり、既存客であるIT部門やSIerから話が来たら対応するだけ、せいぜい電話をかけるくらいなので比較的アポも簡単に取りやすい
- SEに書かせた職務経歴書を持っていくだけなので、プレゼンや価格交渉も発生しない
- そもそも、デキルSEは自分で仕事を取ってくる
そのため仕事の大半は契約のサポートであったり、客先への状況確認、客先常駐SEのサポートというサポート業務中心となります。
結果、詳しい知識を身に付けなくても何とかなってしまうのです。
また、自社のエンジニアと打ち合わせをする中で、個人に感情移入してしまうような場面もあるでしょう。
しかしSES営業の立場では、エンジニアのキャリアパスを支援できる範囲は限られてしまいます。
そういった場面に遭遇した時に、もどかしい気持ちを抱えて嫌気がさしてしまうことがあるかもしれません。
トラブルが多くて嫌だ!
SESではトラブルがつきものです。
- SE・プログラマの能力・勤務態度へのクレーム
- SE・プログラマの残業(にともなうプロジェクト損益の悪化)
トラブルの本質は、人売りであることをそもそもの原因とするSE・プログラマの技術的な問題・勤務態度の問題です。
このような問題は人売りをしているが故の構造的な問題です。
更に、バグが大量に出たり、運用監視で事故を起こせば当然にクレームがつくこともあるでしょう。これは避けられない問題としてあります。
また、SEは基本的にコミュ障であるからSEとなっていることが多く、客先常駐をさせると周囲と円滑な関係が築けないこともあります。
そして、仮にコミュニケーションの問題がなくても、承認欲求が満たされない業界ですから、素直な人でも段々と性格が頑固に捻じ曲がっていきます。
これが原因で、常駐先で揉めるということは日常茶飯事です。
SEから見下される
ソリューション営業が大事だ!と言われて久しいのですが、SES会社にはパッケージソフトや独自ソリューションがないのが常です。
営業として売れるものは人しかない訳です。
結果、人売りのSES会社の営業や総務はSEに食わせてもらっていることになります。
そうすると、SEからは「お前は気楽でいいよな」「俺が毎日残業をして食わせてやってるんだ!」とパワハラさながらに罵られることになる訳です。
SEは承認欲求が満たされない職業となっていますから、そのはけ口として営業が狙われるということもあります。
これはもう構造的な問題ですから、いかんともしようがありません。ある意味、キャバクラの店長や芸能事務所のマネージャーみたいなものです。
将来が見えない
そもそもSESという業態自体が、今後なくなるのではないかという説があります。
派遣法の改正も影響し、今後は派遣か請負のどちらかに絞られていく可能性が高いと言われています。
そのため、将来のキャリアを考えたときに長居は無用という声も多いのです。
SES営業から異業種へ転職できる?
それでは、SES営業から異業種へ転職するならば、どんな業界が選択肢となりうるのでしょうか。
IT業界ではなく、まったくの異業種へ転職したいと考えるのであれば、おすすめは人材業界です。
人材業界の中でも、人材派遣の会社の営業であれば、SESとの親和性も高く活躍のイメージがしやすいでしょう。
そして、営業としてより介在価値を高めたいと思うのであれば、転職支援をしている企業をおすすめします。
転職支援の営業はざっくり分けて3種類あります。
- 対企業の営業
- 対個人の営業(キャリアカウンセラー)
- 企業と個人両手型の営業
対企業の営業
一つは対企業の営業で、企業が必要としている人材を自社の様々な方法を駆使して集め、採用を実現するという仕事内容です。
採用する企業は他の転職支援の会社のサービスを使用している場合もあるため、自社経由のサービスや候補者のアピールなど、営業力が問われます。
中にはコンペで1社に絞る案件も発生することがあるため、プレゼン力も必要とされます。
採用が実現した場合、一般的には提示年収の約25~30%が成功報酬となります。決定1件当たりの報酬はSES営業よりも多くなるため、やりがいも大きく感じるのではないでしょうか。
対個人の営業
二つ目は対個人の営業で、キャリアカウンセラーと呼ばれる仕事です。
SES営業をしていて、もっと個人に寄り添ったフォローをしたいのにそれが出来ず、もどかしさを感じているということが転職理由に入る方にオススメします。
転職希望者のカウンセリングの中で、本人の希望や本音、変えたいと思っていることを深くヒアリングし、それに沿って求人を紹介し、個人のキャリアをより良い方向に導く仕事です。
転職希望者は複数の転職エージェントに登録していることが多いため、転職希望者に選んでもらえるエージェントになれるアプローチ力、的確さが求められます。
これまでSESの営業をしていて、技術者のフォローには一定の自信があるという方は活躍のイメージがある職種です。
両手型営業
三つめは企業と個人両手型の営業です。
企業と個人の間にダイレクトにかかわって営業ができるため、スピード感も早く、介在価値を強く感じられる仕事です。
若ければ未経験職種も視野に入れてOK
もしあなたが20代前半ということであれば、営業以外の職種でもチャレンジ可能です。
新卒入社から3年目までは第二新卒として扱われるため、未経験の業界や仕事でも転職を実現できる可能性があります。
ただしまだ若いということもあるため、また同じような会社を選んでしまったり、転職理由が改善されない本末転倒な結果となってしまうケースも多くあります。
未経験職種、業界への転職を第二新卒枠で検討するならば、事前に複数の転職エージェントに登録して支援を受けながら転職活動をすることをおすすめします。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
先にも述べた通り、SESは将来的に縮小傾向のある業態です。
ご自身の将来のキャリアのためにも、後悔のない転職ができるよう一時の感情に押し流されず、長い目で見てどうかという視点を忘れずに転職活動を進めていきましょう。