この記事は、将来性がある業界で、技術や知識を身に付けて経験を積み、何れかは革新的なサービスを作って大金持ちにでも・・・と意気込んで入社したものの、思い描いていた光景とはずいぶん違う現実に戸惑い、もう辞めたい!と思っている新卒SEの皆さんに向けた記事です。
辞めたいけど、入社1年目で辞めるなんて…と葛藤する方も多いでしょう。
この記事では、新卒でSEになったけど既に辞めたいという人が抱くであろう
- そもそも1年目で会社を辞めてしまっていいの?
- IT業界へ転職するならどうしたらいい?
- 異業種への転職できるの?
という疑問点に答えていきたいと思います。
Contents
新卒SEが1年目で辞めていいケースとは?
仕事は3年は続けなければ知識や経験は身に付かないし、転職にも不利という話をよく耳にしますよね。
確かに一般的には実務経験がある方が、多少なりとも転職には有利と言われます。
しかしSEの場合はそうとも言い切れません。
新卒SEでも転職を考えた方が良いパターンがあります。
以下では、そのパターンを幾つか挙げてみます。
①仕事についていけない場合
SEの仕事は技術力ありきの仕事です。
もしプログラミングに苦手意識があり、努力しても周りに追いつけないと感じる場面が多いようであれば、早期に方向転換をすることも一つの選択肢です。
SEはプログラマではないので、プログラミングが出来なくても仕事をすることは可能です。
しかし、プログラミングができるSEとできないSEでは、任せてもらえる仕事の幅は変わってきます。また、中小企業では、ほぼ確実にプログラマから入ることになりますので、プログラムが苦手だと仕事になりません。
仕事に追いつけない、覚えられないといったことが長く続くようであれば、1年目であっても転職を検討しても良いでしょう。
とはいえ、プログラムには向き不向きが確実にあります。実際に多くの新卒SEを指導してきましたが、これはどうしても避けられない問題です。SEはただでさえ過酷になりがちな仕事です。向いていないと、病んでしまう可能性もありますので、早々に見切りをつけた方がよいかもしれません。
②残業や休日出勤が想定以上の場合
ブラック企業でなくとも、SEの仕事は不規則になる場面が多々あります。
繁忙期以外は基本的に定時で帰れる環境だとしても、繁忙期や納期直前などにはバグ発生などのイレギュラー対応で残業や休日出勤が発生するものです。
その勤務形態がつらい、耐えられないと感じるのであれば、異業種、異職種に転職したほうが良いかもしれません。
もちろんいわゆるブラック企業と呼ばれるような劣悪な環境に身を置いているのであれば、感覚が麻痺して抜け出せなくなる前に脱出すべきです。
③客先常駐をさせられた場合
新卒で入社した会社がSES会社で、客先常駐の派遣SEをやらされることになったというケースが意外と多くあります。
就職活動中にそれを見抜けず、入社してみると
- 低賃金であちらこちらに点々と派遣される
- 客先常駐で運用保守しかやらせてもらえない
という最悪の状況に陥ってしまうのです。
このような状況に置かれた場合、早々に転職を考えた方がいいです。
なぜならば、客先常駐はデメリットが非常に多く、将来のキャリアが描きにくくなるからです。給与も上がりません。ボーナスも一般的なIT企業ほど貰えません。
気付いた時には既に時遅しですので、早めに手を打ってくださいね。
④給料が低くて暮らしていけない場合
客先常駐SEの場合、ピンハネのお陰で給与が極めて低く抑えられている可能性があります。
SES会社で皆さんの給与が決まる仕組みを書くと以下のようになります。
- 顧客が40万円を払う
- 一次請けが10万円をピンハネして、30万円で二次請けに払う
- 二次請けが自社のSEを客先常駐させるが、14万円をピンハネし、そのSEには額面で16万円払う。
実際に二次請けで客先客先常駐している新卒SEが「給料が低くて暮らしていけない」とぼやいていましたが、話を聞いてみると、手取りで10万円程度だったことがあります。
この人の場合、東京の賃貸アパート・マンションで6万円、客先常駐ではランチも付き合わなくてはならないので昼食代が1千円×20日=2万円、水道光熱費で5千円、残り1万5千円で朝・夕食代・洋服代・遊ぶお金をを支出しなければならなかったのです。
ひどいですね。皆さんの給与もこれほどではなくてもかなり低いものとお察しします。
そして最も大きな問題は、キャリアを通じてこの低賃金構造が続くということです。
いくら成果を出してお客さんがあなたに払う月単価が100万円になったとしても、SES会社は給与を上げません。なぜならば、
- プロジェクトには期限があり、プロジェクトが終われば待機期間(売上ゼロとなる期間)が発生する可能性がある。
- 次のプロジェクトでは、単価が80万円などに落ちる可能性がある。
からです。
つまり、売上が変動するというリスクがあるのです。
しかし一方では、給与は毎月固定的に支払わなくてはなりません。
結果として、安定して利益を出すためには固定的な給与は低く抑えておこう!ということになるのです。
会社が皆さんからピンハネしているお金は利益を出すためのバッファとも言えますね。
ですから、皆さんの給料は低くて当然ですし、上がる訳もありません。
これが、SES/客先常駐はやめとけ、と言われる最も大きな理由です。
でも、そもそもそんな会社はその時に潰れるべきだったのかもしれません。
⑤COBOLの現場に入れられてしまった場合
このケースでは速攻辞めて下さい。
現在COBOLが使われているのは、金融機関や製造業のレガシーシステムです。
COBOLもオブジェクト指向が取り入れられていたりしますが、残念ながらこのようなレガシーシステムには取り入れられていることは少ないです。
はっきり言って、最先端の技術とは程遠いものです。
更に、現在主流となっているJavaなどC言語の派生言語とまるで違う言語体系であるため、今後新たな言語を勉強する上で極めて応用が利きにくくなります。
ですから、COBOLの現場に入れられた場合は、早々に脱出することを模索して下さい。
エンジニアは、1年でスキルがまるで変ってきます。
厳しいことを言いますが、将来にSEとしての市場価値を上げて、早いうちに1,000万円プレイヤーになりたいのであれば、COBOLerをしていたら無理です。
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もう少し我慢した方が良い場合とは?
①テストばかりやらされる場合
客先常駐ではないけど、プロジェクトでテストばかりやらされる・・・というケースでは、どうすべきでしょうか?
このケースでは様子見が良いかもしれません。
プロジェクトの都合や会社の新人教育に対するポリシー、それにも増して単純にプログラミング能力・技術不足から、新卒エンジニアはテストをやらされることが極めて多いです。
周りの人は順調にプログラミングをやらせてもらっているのに・・・と焦る気持ちも分かりますが、新人の1年目は「周囲の信頼を積み上げる期間」として捉え、目の前の仕事を早く正確にきっちりとこなすことに集中しましょう。
また、プログラミングを任された場合に、おっ?こいつはできるな?と思わせるよう、こっそりと家でプログラミングを勉強しておいてください。
新人時代における勉強は後々エンジニアとしての基礎力にとなっていきますので、仮に同期と差を付けたいののであれば、現状の仕事には文句を言わず、家で勉強して下さい。
②プログラムを書かせてもらえない場合
プログラミングを身に着けたくてITベンダーに入ったけど、結局は設計書を書くだけでプラグラムを外注先に投げるだけの会社だった、ベンダーマネジメントだけしかやらせてもらえない、というSEも一定数います。
このようなケースは、大手のSIerやITコンサル会社に入った場合に起きますが、なかなか判断が難しいケースです。
なぜならば、プログラミングがしたいがために、中小のITベンダーに入るというのはデメリットがあまりにも多すぎるからです。多重下請け構造の下層に組み込まれたが最後、抜け出すのは非常に難しくなります。残念ながらこれが日本の現状です。
このケースでは、プログラミングスクールでプログラミングを学ぶなどしてから、よりプログラマの地位が高い外資系やベンチャー系を目指すのが良いです。
一年目で辞めると転職に不利になる?
新卒で入社して3年目までは第二新卒と呼ばれる時期です。
実は、この時期は近年非常に転職がしやすい時期となっています。
多くの企業で人手不足感が強まっており、大手でも第二新卒を積極採用する予定の会社が増えています。
ですから、一年目で辞めても転職で不利になることはありません。
むしろ、この時期を逃すと異業種に転職することが難しくなってきますので、見切りをつけるのであれば早い方がいいとさえ言えます。
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SEから異業種に転職できる?
新卒1年目のSEが転職しやすい業界というものは明確にはありません。逆に言えばどこの業界にでも転職できる可能性はあります。
まずは自分のやりたいことや、興味や関心のある業界を明確にしましょう。
また、第二新卒を積極的に採用しているような業界は比較的転職しやすいため、転職サイトなどはこまめにチェックすべきです。
とはいえ、SEとしての経験を少なからず生かせる職種はあります。転職エージェントのアドバイザーから聞いたものとしては、業界問わず、下記のようなものが挙げられます。
営業職
プログラミングは苦手だけれども、クライアントとのコミュニケーションは問題ない、むしろ好きだと感じることが多かったという方にオススメです。
SEはクライアントとの折衝、メンバーとの意思疎通が大切な仕事です。そのため、技術面で苦手なことがあったとしても、コミュニケーション能力の高さは重宝されます。
もしそこにやりがいを感じるのであれば、飛び込み型の営業ではなく、クライアントの問題解決のための提案型営業の仕事が向いているかもしれません。
現在までに培ったIT知識を少しでも生かしたいと考えるならば、IT機器販売などのIT関連企業の営業職として成功できる可能性があるでしょう。
ただし、営業職の場合、基本的に売り上げを上げる、つまりノルマを追うことになることをよく理解しておきましょう。
事務職
就業環境の改善を求めて転職するのであればおすすめの職種です。
データ入力や資料作成等、PCを使った業務がメインとなりますので、PCを使った仕事をしてきた経験は十分役立ちます。
年収は営業やSEと比較すると低くなる可能性が高いですが、残業も少なく定時で帰宅という就業環境が手に入る可能性が高い職種です。
一方、営業事務であれば、有効求人倍率がやや高くなります。営業をやらされる可能性もありますが、こちらに目を向けても良いかもしれません。
資格を取って転職するのはアリ?
一般的に資格は転職に役立つものですが、新卒の場合は話が違います。
なぜなら、上記と繰り返しになりますが、第二新卒という転職に有利な期間を逃さない方が良いからです。
仕事をしながら死ぬほど頑張って勉強してこの期間を浪費してしまうのであれば、そもそも資格を取らせてくれる、勉強にお金を出してくれるような会社に入るよう努力する方がより効果的ですし、精神上健全でいられます。
中小のSES会社にいる人では分からないでしょうが、大手企業では、しっかりとした研修制度はもとより、資格奨励制度、留学制度などが充実している会社が沢山あります。
実際、私も後にこのことに気が付いて、悔しくて悔しくて死にそうになった記憶があります。
ですから、皆さんに言いたいのは、今のタイミングを逃すな!やるなら今でしょ(笑)ということです。
IT業界自体が苦手でなければ職種を変えるのもあり
IT業界自体が苦手ということでなければ、わずかな期間と言えども現在に至るまでに身に付けた知識やスキルも生かしつつ転職するという方法もあります。
例えば、ITコンサルタントやSIerの営業はおすすめです。
どちらの職種も基本的にクライアントの課題解決が目的の仕事となるため、プログラミングの専門的な技術力などは深く求められません。
ただし、クライアントとの折衝がぐっと増えるので、高いコミュニケーションスキルが求められます。
そこに苦手意識がないのであれば、新卒で入社した会社での経験も無駄にすることなく転職できるので、自分の中でも納得度が高まるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
SEからの転職に関わらず、転職して職種を変えるということは、これまでと違う目的達成を目指す仕事に変えるということです。
つまり、他の仕事に変わればまた別の課題も出てきますし、別の仕事ならではの大変さや面白みも出てきます。
転職する目的は何なのか、その理由は転職先で叶えられるのかということをじっくりと考えたうえで転職活動をしていきましょう。
自分だけでは考えきれないかもと不安に思うことがあれば、転職エージェントなどのプロの力を借りることも視野に入れることをおすすめします。
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