厚生労働省の「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると労働基準監督署や行政の窓口で受け付けたトラブルの中で最も多いのが「いじめ・嫌がらせ」、つまりパワハラであり、件数も87,570件と8年連続トップなっています。
これは、全体の25.5%にものぼり、非常に大きな問題となっていることが分かります。
筆者個人も、客先常駐先のプロジェクトでユーザ企業の担当者から激しいパワハラを受け、泣き寝入りしたことがあります。
その時の立場としては、SIer会社(プライムベンダー)の下請SEという立場でした。つまり、SES会社の客先常駐エンジニアだったわけですね。
この時は、解決の糸口が見いだせないまま常駐を続けて血尿が出てしまい、同僚は10円禿ができました。
経験された方は分かると思いますが、客先常駐エンジニアは非常に立場が弱いため、パワハラを受けてもなかなか言い出せないものです。
このようにパワハラで悩んでいる人が潜在的に多いのではないかと思い、このページで問題の原因や対策方法を書こうと考えた次第です。
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精神を病む原因の多くはパワハラだった
私が当時在籍していたSES会社では数十人の社員がいましたが、毎年10%が退職し、1名が何らかの形で精神を病むという状況になっていました。
精神を病んだ人の具体的症状は、
- 自殺しようとした
- パニック障害を起こして通勤できなくなった
- 通勤中に気を失う
等々です。
この人達の共通項は、20代後半~30代の中堅SEでした。私が血尿を出し、同僚が10円禿を発症したのもだいたい20代後半です。
そして、最も大きな共通項は、客先常駐エンジニアであり、ユーザ企業若しくは元請(プライムベンダー)からパワハラを受けた、ということです。人によっては深夜休日関わらず電話でクレームをつけられることもあったようです。
業界に長年在籍していて、うつ病などの既往症を持っていない人達でも、運悪くパワハラがあるプロジェクトに投入されたら、いとも簡単に病んでしまったのです。
あくまでも私の個人的な経験に基づいた話ですが、意外と人間の精神は脆いと感じさせます。
そして、病んでしまったら、そこからが大変です。
今では労災を申請することも比較的容易になり、手当てを貰いながら休職することもできるようになりました。
しかし、経済的な面で補償があっても、長期間投薬治療が必要になり、復職後も長時間労働は難しくなると、エンジニアとしての生活の質は非常に下がってしまいます。
できれば、精神を病むようなパワハラは避けたいところです。
SESで実際に起きているパワハラ事例
上記は私の経験談でしたが、具体的にどのような行為がパワハラになるのかを行政の定義から見ていきたいと思います。
職場のパワハラ(パワーハラスメント)とは、職場において行われる
- 優越的な関係を背景とした言動であって、
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- 労働者の就業環境が害されるものであり
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
(引用元:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about)
客先常駐で働く自分の置かれている状況はパワハラと呼べるのか迷うことがあるかと思いますが、もしここでご紹介する内容に当てはまる物があれば、それはパワハラと言えます。
無理のある納期を強制される
SEという仕事の特性上、どうしても納期に追われます。
納期に間に合わないリスクが発生すれば、残業ももちろん発生しますし、それは承知の上で受け入れているSEがほとんどです。
しかし、客先常駐エンジニアの場合、その納期設定が理不尽なケースが散見されます。
突然の指示や納期の変更、そして物理的にどう考えても無茶な納期を強制される、しかもその指示に従わないという選択肢は、客先常駐エンジニアにはありません。
本来、SES契約は1時間幾らという時給制のような働き方なので、「納期に間に合わない?ぼくちゃんそんなの知らないもんね!」と我関せずやることだけをやってればいいのです。
しかし、元請(プライムベンダー)はユーザと「請負契約」を交わしているのが常ですから、成果物を納期通りに作る責任を負っています。そうすると、当然のように下請けエンジニアに対しても、シビアな納期設定をしてくるという訳です。
これはパワハラと言える状況ですが、残念ながら客先常駐の世界では多々見られるものです。
オーバースキルの仕事を振る
こちらもよくあるケースです。
SEは案件に対してスキルマッチしていることが重要で、習得していない言語での開発を突然指示されても対応できなくて当然です。
客先常駐エンジニアも、本来は雇用側が求めるスキルがあるから契約、派遣に至っているはずです。
しかし、派遣先で突然経験したことのない仕事を無茶振りされることは意外と多くあります。
しかもそういった要求をしてくる現場では、NOということは極めて困難です。早期退場させれて社内待機ということになれば、人事評価は下がり、下手をすると解雇対象・・・という最悪な将来像が頭にチラつくからです。
そして無茶ぶりの結果成果を出せなければ、結局は使えない人材として扱われる訳です。正に、客先常駐エンジニアの悲哀ですね。
これは十分パワハラと言える状態です。
暴言や心無い言葉
上記2つは、自分の成長にかこつけて何とか我慢できるとしても、暴言や心無い言葉は、人間の精神をじわじわと傷つけ、内面から破壊していくものですから、いかなる理由からも許容し難いものです。
実際にこれがパワハラで最も大きなものになると思います。
具体的には、「使えない」「役立たず」といった言葉や、人格を否定するような暴言がパワハラとなります。
もちろん企業によって差はありますが、怒号の飛ぶような現場、社風の企業も存在します。
そして不幸なことに、客先常駐エンジニアはそういった企業に派遣されることが多くあるのです。
よく言われますが、どの客先に常駐させられるかは提供割合が公開されないガチャと同じです。実際、SSRなんて稀で、カスを引くことも多い訳です。
たとえ自社の社員である上司が、自分の部下に対して語気を強めて厳しく接する社風の会社であったとしても、外部から派遣されているSEに対して同じ接し方をするのは本来あってはならないことです。
しかし、それが横行している現場が存在することが客先常駐の悲しい現実です。
また、開発エンジニアの場合、ある程度経験豊富なSEであっても、現場に入ってすぐに100%のパフォーマンスを発揮するのは難しい事がほとんどです。
それは業務知識の習得や環境への適応など、現場ごとに多少のキャッチアップが必要な事が多いためです。
熟練のSEでさえそうなのですから、開発経験の浅いSEであればなおさらです。
客先常駐SEの場合、十分な経験がないまま一人で派遣されることも頻繁にありますから、現場によっては「使えない」などと判断されてしまったり、現に直接言われてしまった、などということもあります。
暴力
言わずもがなパワハラです。というか犯罪です。具体的には、暴行罪。ケガをすれば傷害罪ですね。
一昔前に比べれば、客先常駐エンジニアの扱いはずいぶん改善されました。
しかし、昔ながらの昭和体質が抜けきらない企業もまだあり、問題の根はまだまだ深く、ものがあります。業界にとっては大きな課題です。
まあ、ケガについては直接的な証拠ですし、言い訳できませんから、とっとと告訴するのが吉です。
客先常駐はパワハラの温床になりやすい
客先常駐エンジニアを派遣するSES企業は、商流のピラミッドの最下位付近に位置していることが多いです。
言い方は悪いですが、利益を散々抜かれた搾りカスで生活している会社です。
商流が下位であるため低賃金、下位であるから待遇が悪くなってしまう、これが客先常駐エンジニアの悲しき定めなのです。
勿論、客先常駐エンジニア相手でなくとも、同じ企業に勤める上司と部下の間でもパワハラは起こり得ますし、実際に起きています。
それが立場的に弱い客先常駐エンジニアとなれば、発生率はさらに上がりがちです。「僕雇う側、君雇われる側」というパワーバランスが生まれてしまうからです。
派遣SEを雇う側は、マンパワーを補充するためにお金を払って雇っている人員という視点で派遣SEを見ています。
お金を払っているのにパフォーマンスを出さない、役に立たない、指示を聞かない、残業を嫌がるなど、あちら側からしたらあり得ないというわけです。
客先常駐エンジニアがそのつもりがなかったとしても、そう認識されることにより、徐々にパワハラへと発展していってしまうのです。
さらに悪影響を及ぼす可能性があるのが、採用などの人事権を握っている人物です。
客先常駐エンジニアの採用や契約解除に関しては、現場のチームリーダーや直属の上長が人事権を持っていることがほとんどです。
直接雇用に関わっているため、雇ってやっている側という考えが無意識のうちに定着しやすく、より立場の優劣が際立ってしまいます。
例えば、元請けの無茶振りに殺気立つ2次請け企業の現場リーダーに、3次請け客先常駐エンジニアがパワハラを受けてしまうという、とんでもない理不尽な出来事が起こる訳です。
業界の構造、圧倒的な立場の優劣、下請け企業社員の精神状態、こういった様々な要因が合わさることで、客先常駐エンジニアはパワハラのターゲットになりやすくなってしまうのです。
とんでもない阿呆でも発注者側になると、その立場になりきってしまうのかもしれないと思ったね。ああ、恐ろしい。
パワハラあるある
上記以外にもパワハラが起こるケースは多くあります。私の体験談をもとに紹介してみたいと思います。
リーダーとの相性が悪く怒られる
まずこれが一番多いと思います。
客先常駐の場合、常駐先のリーダーとの相性がとても重要です。
リーダーが優秀な人や人間的にしっかりとして人であれば業務もスムーズにいく事が多いです。
逆にスキルもない、頭が悪いなど、やばい人にあたったらまさに地獄。
それと、人間なので相性もありますよね。
こちらからすると「それ先に言ってくれないと分からないでしょ?」とか「いや、こないだ別のこと言ってたやん?」みたいなことがたくさんありました。
最初は我慢してましたが、私も結構はっきり言うほうなので(笑)バトルになり、立場が弱いこちらが何故か怒られる、というのがお決まりのパターンでした。
私みたいに言い返さない人はただただ怒られて委縮してしまいますよね。
客先常駐でいきなり現場に来なくなる人がいたり、鬱になったりする人が多いのはこういった事あるように思います。
できないメンバーの手伝いや雑用を依頼される
これは私だけでなく客先常駐SEの場合誰もが経験しているのではないでしょうか。
自分のタスクが終了してもいても、仕事のできないメンバーの作業の巻き取りや他の部署の手伝いを強制されるケースもあります。
それで残業させるとかたまったもんじゃありません。
はっきりいって、SES契約(準委任契約)では違法なんですけどね(苦笑)
とは言っても、残念ながら客先常駐の場合、立場が弱いため、リーダーや現場の社員に指示されたら拒否することは基本的にできません。
もし拒否したら、自社にクレームが入れられたりもする訳です。もう訳が分からないという話です。
私も場合、実際それで査定に響いて給与に影響があったりしてぶちキレた経験があります。
提案したらなぜか怒られる
もちろん開発者であれば納期があってそこまでに間に合わせないといけないのは理解していますが、ただその遅延の原因が問題な訳です。
私の場合、「このような進め方をしたら間に合いませんよ」とか「ここはバグがでる可能性が高いのでやり方を見直ししましょう」とか「●●さんの作業がやばいので誰かヘルプしたほうがいいですよ」とか現場で色々アラートをあげていました。
にも関わらずリーダーやプライムの社員は適当な対応ばかり。挙句の果てに怒られたのです。
で案の定プロジェクトが遅延して休日出勤とか、アホかと思いますよね。
パワハラの責任はどこにある?
私がパワハラに遭遇したプロジェクトでは、ユーザ企業の担当者と、元請けのSIerと私達を含む下請けのSESエンジニアが一緒に同じプロジェクトルームで仕事をしていました。
この担当者がひどい。
元請・下請け問わず毎日怒鳴り散らす様は正に凄まじいものがありました。10年以上前ですが、今でもここまで酷い現場は見たことがありません。正に、パワハラです。
お陰で私も血尿を出しました(それで済んだことが不幸中の幸いですが)。
さて、このケースでは、誰に責任を問えばよいでしょうか?
いわゆる加害者である、ユーザ企業の担当者に責任があることは言うまでもありません。
しかし、この人物に責任を問うことができるかというとまた別です。
暴行があればある意味話は簡単で、逮捕もできる訳ですが、こちらの納期が遅れていることで怒っているという状況でもありましたから、下請エンジニアとしてはなかなか難しい訳です。
では、元請に「こんな現場に入れやがって!何とかしろ!」とクレームを付けられるか?と言ったらそれも難しいのです。
まず、心情的にできません。元請の担当者も一緒に怒られている訳ですから。一緒に仕事をする仲間としてこれは無理です。
では、法律面ではどうか?
実は、元請会社は自社の社員同様に、下請企業の従業員や派遣元企業の従業員にも労働契約法5条の安全配慮義務を負うというのが、最高裁の判例で出ています。
しかし、危険な土木作業などについての判例は多いのですが、パワハラの判例については(筆者の知る限りでは)ありません。
しかも、今後の取引を考えると、法律論を振りかざし元請を責めて信頼関係を損なうリスクは避けたい訳です。
ですから、どだい無理筋なのですね。
じゃあ、誰に責任を問うの?という話です。
これが、SESで客先常駐しているエンジニアの苦しいところです。一人でどうしたらいいか分からないまま、苦痛に耐える日常が続く訳です。
しかし、これはSES契約上実は明快な問題なのです。
答えは、自社(SES会社)です。
なぜならば、請負契約でもSES契約でもエンジニアの管理責任は自社(SES会社)にあるからです。客先常駐させているから「知らなかった」では済まないのです。
つまり、自社も上記の安全配慮義務を負うということです。パワハラを受けた場合は、安全に働ける職場環境の整備を怠った自社に責任があるということですね。
ですから、実際に起きたパワハラで責任を問うべきは自社であり、速やかに対策を取るよう自社に申し出ことが第一歩なのですね。
まあ、SESという微妙なビジネスをしている以上、責任を取ってもらって当然でしょう。
とは言っても名前の通り、あくまで予防の部分にフォーカスした法律で、そもそも罰則がありません。あまり過度に期待せず、他の手段で対策を講じることをお勧めします。
SES会社を辞めるという選択肢を持ちたい
では、「パワハラを受けているから、常駐先を変えてほしい」と本来の雇用元のSES企業に伝えることで、状況は改善するでしょうか。
一時的に状況は良くなる可能性もありますが、長い目で見ると答えは「NO」です。
その理由は2つあります。
客先常駐エンジニアであり続ける限り、根本解決にはならない
一昔前のSES企業は「人売り」と揶揄されるほど、社員の扱いはひどいものでした。
パワハラが横行するひどい現場であろうと、自社社員のサポートはほぼせず、使い捨てのような感覚で社員を派遣するような悪質な企業も多くありました。
最近のSES企業は優良な体質の企業も増えてきてはいます。きちんとした企業であれば、問題が発生した場合に常駐先を変更するという対応はしてくれるでしょう。
しかし、どこまで行っても客先常駐エンジニアであることに変わりはなく、運が悪ければまた同じような目に合う可能性も十分あるため、根本的な解決にはなりません。
対応が雑なSES企業であった場合は、常駐先に文句を付ける面倒な社員として冷遇されるリスクもあります。
客先常駐エンジニアであり続けることに将来性はない
上でも書いた通り客先常駐エンジニアの年収は全体的に低く、年齢や経験を重ねたとしても、将来的に大幅な昇給は望めません。
また、派遣先の仕事をこなしても、仕事内容は単調なものが多く、身に付けられるスキルも限定的です。
その事実に気付くのが遅くなり30代、40代となると、スキルがあまりない上に、転職のハードルが上がってしまいます。
さらに環境の良くない派遣先ばかりに当たり、体を壊したり鬱などの精神疾患を患ってしまっては元も子もありません。
自分の将来、身を守るためにも、パワハラなどのつらい目にあったならば、客先常駐エンジニアからは脱却することをおすすめします。
客先常駐エンジニアに将来性がないのは何故?も参考にして下さい。
パワハラとは戦わずして逃げるほうがいい
SES会社を辞めることをお勧めするのは、もう一つ理由があります。
それは、パワハラはセクハラと違って根本的に争いにくい問題だからです。
セクハラの例としてはボディタッチがありますが、これは強制わいせつ罪となる可能性があります。つまり告訴すれば逮捕・送検される可能性があるということです。そして、被害者の証言さえあればこれができるのです。
一方、パワハラの場合は異なります。殴る・蹴るが明確に伴なわず、怒鳴る程度であれば指導などとの線引きが難しく、告訴ができるまでには至りません。
また、上記のようにパワハラ防止法もあくまで予防・防止の観点ですから、厳しく罰せられるとは言えません。
労働基準監督署に駆け込んで、「あっせん」等の制度を使って企業と話し合って紛争解決を目指すケースが増えているのもこのような背景があります。
ただ、労基署はあくまでも間に入って話し合いを促す程度ということは覚えておいた方が良いです。労基署は捜査権を持った組織ですが、如何せん人手不足で、立件する件数は限られており、強い処罰までには至りません。
では、最後の手段として「職場環境配慮義務」違反や「使用者責任」を追及して民事裁判を起こすというのはどうか?ということですが、証拠集めから数カ月に渡る裁判を経て結果が出るため、労多くして功少なしというケースも多くあります。
従ってパワハラの場合、スッキリ解決!は難しく、時間もお金もかかってしまうというのが実情です。
以上の理由から、筆者個人としては「SES会社パワハラに遭ったら会社を辞めて、SES会社以外に転職する」というということをお勧めしています。
逃げるが勝ちという戦法ですね。
さっさと転職してホワイト企業に勤めた方が精神衛生上良いですし、仮に裁判で勝って数百万貰うよりも生涯年収が上がった方が経済的にもメリットがあります。
ではバックレはどう?と思っている方に向けて客先常駐でバックレは可能?をまとめてみましたので参考にして下さい。
客先常駐エンジニアが転職を成功させるポイント
転職は可能とは言っても、もちろん転職する本人の努力と、転職のポイントを押さえておくことは重要です。
ここからは、客先常駐エンジニアが転職活動をする上で、押さえていただきたいポイントについてご紹介します。
①スキルを身に付け、整理しておく
やはり、「スキル見合い」「スキルマッチ」の原則はSES会社以外の会社に転職する場合も頭に入れておく必要があります。
スキルが身についていなければ、頑張ります!で転職が叶うことはまずないと考えておいてください(採用面接はコンピテンシー面接という手法が一般的だからです)。
仕事をしながら転職活動をする場合、時間も余裕も少なく新たなスキルを身に付けることは大変だとは思います。
しかし、プラスアルファの努力で将来の年収に数百万単位の差と思えばどうでしょうか。頑張れば無駄にならないと思えば、頑張れるはずです。
ただし、ただ本を読んでサンプルコードを打つだけでは駄目です。
これではスキルがあるという証明になりません。あくまで動く成果物を作ることが重要です。
勿論、例の問題のように客先のコードを流用してはいけません。しっかりと著作権に問題のない範囲外で作成しましょう。
そうは言っても、仕事も忙しいし、課外活動になかなか手につかない場合は、プログラミングスクールに入って強制的に学習する環境を作ってしまいましょう。
また、転職活動を始めるに際し、改めて自分のスキルや経験の棚卸をしておきましょう。
自分は何が出来て、何を得意としているのかを明確にできれば、自分の売り込みポイントも明確になります。
転職市場では自分が商品です。この商品がうまく部品として会社にはまるかどうかを転職先は見ています。
②転職理由はパワハラでなく、前向きなものを用意する
IT業界だけに限らず、転職活動における最重要ポイントです。
特にこの記事のテーマのように、本音の転職理由がネガティブな内容の場合、ここを丁寧に練っておくことが大切です。
ネガティブな内容がネガティブなまま伝わってしまうと、不満を抱えやすい人物だと判断され、転職活動がうまくいかないというケースはよくあります。
- 転職して今後自分がやりたいこと
- 現在の職場でやりたいことが実現できない理由
まずはこの2つについてしっかりと整理してみてください。なお、この点については実際の転職エージェントのアドバイスをそのまま紹介しています。
客先常駐から脱出して大幅な年収UPを実現した人に話を聞きました
開発や運用保守では古いシステムで仕様書類に不備がありすぎて開発に入るたびにコードを解析して仕様書を作成してから実作業に入らなければいけないのが大変でしたね。
その作業は見積もりに反映されていなかったので残業も増え先輩や上司、その他メンバーとのコミュニケーションもほぼほぼなかったため仕様を知っている人のサポートを受けづらかったです。
システム導入サポートでは入社3年目でサブリーダーに抜擢され良い経験を詰めたがやはりサポートは不満でした。1年プロジェクトでしたが最初の1ヶ月だけリーダーの指示で動き、その後は自分の力と管理能力でどうにかするしかありませんでした。品質もブレるし大手のメーカー主導で動いているプロジェクトだったのでもっとサポートに期待できるものだと勝手に思っていましたが、現実は甘くありませんでしたね。
しかも、残業が増えるとその時仕事しているプロジェクトメンバーから週に3回ほど飲みに誘われ愚痴を聞かされていました。そのときに自分の単金がいくらという話を聞いて給料とかけ離れすぎていて嫌気が差したのが転職を本気で考え始めるきっかけですね。
始めてからは作業内容や待遇から好きな案件を選び作業しているので、自分にあった働き方ができました。残業と給料面は書面で、人間関係は面接で見定められるのでより待遇面での不安はなくなっていきました。そして個人で仕事する事により技術面も期待されているのでスキルアップにも繋がり、技術が評価されることの楽しみをより感じることができました。勿論100点満点で満足しています。
まとめ
まとめます。
- 客先常駐エンジニアは、立場が弱くパワハラのターゲットになりやすい
- SESは商流の最下位に位置するため、立場がとにかく弱い
- 派遣先でのパワハラから逃れるには転職が最善
- 転職を成功させるためにもスキルを身に付けるべし
- 転職サイトではなく、転職エージェントを利用すべし
客先常駐エンジニアという働き方が、悪だという事ではありません。しかし客先常駐エンジニアにパワハラの被害が多いということは事実であり、実際に私も苦しめられたことがあります。
パワハラは受けた人の心身に大きなダメージを与えます。
その環境に長く身を置けば、心身を蝕み続け、回復が難しい段階にまで進んでしまいます。
そうなってしまう前に、自分が置かれている環境は異常なんだということに気づき、自体が悪化する前にぜひ行動を起こしてください。