VBAエンジニアとして会社に所属して働いている方で、今後フリーランスに転向を考えているという人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、VBAだけでフリーランスとして生計を立てていくことは可能なのか、不安を抱く人も多いでしょう。
ここでは、VBAしかできなくてもフリーランスになることはできるのか、VBAフリーランスとして稼ぐためのポイントなどについてご紹介します。
併せてVBAの案件数や動向、平均月単価などについても調査してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
1.VBAだけでもフリーランスにはなれるがリスクあり
結論から言うと、VBAしかできなくてもフリーランスとして仕事を得ることは可能です。
しかし、VBAのスキルのみで継続的にフリーランスとして稼ぎ続けることは少々難易度が高く、将来的なリスクが伴う可能性もあります。
VBAの将来性については下で詳しくまとめますので、そちらをご覧ください。
そもそもVBAは、エンジニアでなく素人でも扱いやすいという特徴があります。
ExcelやAccessといったMicrosoft Office製品で使用するマクロ言語、「Visual Basic for Applications」の略語がVBAです。
つまり、ExcelやAccessなどを使い慣れた、使いこなしている事務職であれば、プログラム言語を知らなくともマクロとしてVBAを活用しているケースもあるのです。
しかし、Excelを使うすべての人がそのような活用法を知っているわけではなく、知識がある人でも限界があります。
また、機能を作成した担当者が不在となればメンテナンスされず埋もれていき、組織内で活用し続けることは困難になります。
そこで求められるのがVBAの専門的なスキルを持ち、様々な活用ノウハウの知識を持つVBAエンジニアです。
VBAを活用すればPC上でのデータ処理のみならず、ネットワーク上で基幹システムと連携させることで、基幹システムの改修をせずに安価に集計機能を追加することなども可能です。
基幹システムの改修には高額な費用が掛かるため、特に中小企業で多くのニーズがあります。
また、事務作業の効率化、省力化のために、多くの企業がRPA(Robotic Process Automation)やAIシステムを導入しています。
それらのシステムを使用する際に相性の良いExcelを使うことが多く、VBA案件は大量ではないものの、継続して出続けているというのが現状です。
2.VBAのみの案件の単価相場は50万円程度
レバテックフリーランスでVBA案件を検索すると、現時点で最高単価は月145万円、最低単価は月30万円で、平均単価は月58万円程度です。平均年収は720万円程度のVBAフリーランスが多いようです。
ちなみに、メジャーな言語の平均年収を見ると、Javaは850万円、C言語では820万円程度が相場のため、VBAの相場は比較的低めです。
さらにこの内、VBAのスキルのみで受注可能な案件の単価相場は50~55万円程度のものが大半を占めます。
レバテックフリーランスに掲載中のスキルVBAのみの案件をいくつかピックアップしてみましょう。
- 画面入力系システムデータ処理 ~55万円
- リサーチビジネス向けセカンダリーデータ運用 ~55万円
- 公共向けパッケージデータ移行ツール開発 ~55万円
一方60万円以上の高単価案件の場合、VBAのみではなくそのほかにも様々なスキルや経験が求められます。
例えば、レバテックフリーランス内のVBA案件の中でも高単価のものは、下記の通りです。
- 証券会社ミドルオフィス向けシステム開発案件 ~75万円/月
VBAの他にC++、またはC言語での開発経験必須 - コールセンター基幹システムリプレイス ~95万円/月
VBAの他に、Salesforceを用いた開発経験2年以上、要件定義の経験
なお、正社員として働くVBAエンジニアの年収相場は400~500万円程度、経験豊富な方でも600万円程度のため、案件を継続して受注することが出来るのであれば、フリーランスとして仕事を受ける方が収入は上がる可能性が高いと言えます。
ただし、VBAのスキルしかない場合は月単価の天井がほぼ決まってしまうため、収入を増やすことを望むのであれば新たなスキルを身に付けておく必要があります。
3.VBAの案件数や求人動向
フリーランス向けの主要エージェントサイトで、VBA案件を検索してみると、本日時点でレバテックフリーランスでは337件、ギークスジョブでは26件の案件がヒットしました。
案件の内容は上でも触れましたが、VBAのスキルのみではシステムの機能追加開発、データ作成ツール維持管理など運用保守、その他言語での開発経験や要件定義の経験などがあればシステム開発やリプレイス案件などが出ています。
全体的な傾向として、VBAだけのスキルを求める案件よりも、VBAの他にJavaやPython、Linuxなどのオープン系での開発経験などのスキルを併せて求められる案件が多いです。
また、前述のとおり、そういった案件になるほど高単価となります。
4.VBAの高単価案件を獲得するにはプラスαのスキルと営業力が必要
VBA案件を受注するには大きく分けて3つの方法があります。
フリーランスエンジニア向けのエージェントを利用する
VBA案件を獲得する方法として最も効率的と言えます。
大手エージェントであれば、レバテックフリーランス、ギークスジョブ、フォスターフリーランスなどが有名どころですね。
エージェントを利用する最大のメリットは、ブランクを空けずに仕事の受注を継続しやすい点です。
登録している各フリーランスに担当エージェントが付き、希望とスキルに合った案件を紹介してくれる上、案件と案件の間にブランクが発生しないように次の案件を提案してくれます。
現在のタスクをこなしながら自力で案件の獲得をする場合、タイミングが合わずブランクが発生し、収入が不安定になるということが起きがちですが、エージェント経由で受注をしておけば、そのようなリスクを軽減することが可能です。
【登録はこちら】レバテックフリーランス
※案件は1都3県(神奈川、埼玉、千葉)、大阪、福岡、名古屋周辺となりますので、それ以外の地域の方は注意して下さい。
クラウドソーシングを利用する
代表的なサイトとして、クラウドワークスやランサーズなどが挙げられます。
自分で手軽に探すことが出来ますが、報酬額にかなりばらつきがある上、応募数が多いがゆえに供給過多となり価格競争が発生するというデメリットがあります。
どちらかというと、フリーランスではなく、副業希望のエンジニア向けと言えます。
例えば、ランサーズでVBA案件を検索すると、安いものでは数千円、高いものでは50~60万円と、報酬額にかなりの差が出ています。
原因は発注者側の知識不足や予算不足というところです。
結果として、高額報酬の案件に応募が殺到し、倍率が上がってしまうことで案件を受注しづらい状況に陥ってしまいます。
中にはワーカーと応相談という報酬設定をしている発注者もいますが、相手に正しい相場などの知識があるかどうかは不透明であるため、あまり期待はしない方が良いでしょう。
こちらからの提案力や営業力も必要になります。
自力で受注する
営業力やサイト作成に自信がある方は、自分でウェブサイトを作り、そこを経由して仕事を受注するという方法もあります。
ExcelやVBAに関する情報を発信しつつ、そのサイトの問い合わせフォームから仕事の依頼が来るような仕組みを作り、案件のヒアリングをしていきます。
直接詳しくヒアリングして相手のニーズを正しく引き出すことが出来れば、自分の専門知識から追加提案をすることも可能です。
付加価値をつけることが出来れば、報酬の交渉もよりしやすくなります。
ただし、この方法を軌道に乗せるためには、閲覧してもらえるサイトを作り上げることと、それなりの営業力が必要になります。
また、提案の幅を広げるためにも、VBA以外のスキルや経験を積んでおくべきでしょう。
エージェント経由で仕事を受注しつつ、コツコツと自力で受注し稼ぐ仕組みの基盤を作っていくのも良いでしょう。
5.VBAの将来性
VBAは20年程度アップデートされていない言語です。
未来がないのでは?という見方もありますが、必ずしもそうとは言えませんし、現時点では当面ニーズがなくなることはないと予測されています。
まず、VBAが使用されるMicrosoft Office製品は世界中で普及しており、そのシェアは変わらずNo.1です。
Appleなども台頭してきていますが、Officeが先頭を走っている状況は現在も変わっていません。
一番初めにRPA (Robotic Process Automation)について少し触れました。
PC作業をオートメーション化することでルーティン作業を代行、人員不足を補い、生産性を向上することを目的に多くの企業が導入を進めています。
仕組みだけ見ればExcelの作業のVBAを使った自動化と似ているため、競合するのでは?という懸念もありますが、必ずしも競合するわけではありません。
RPAは作業を自動ですることは可能ですが、自動で作業をするための手順を作ることはできません。
そのため、現場のニーズを正確に見極めて自動化の手順を作る工程が不可欠であり、その工程でExcelを活用するという手法がよく取られているのです。
そして、そこで活躍するのがVBAを使いこなすことのできるエンジニアです。
つまり、RPAとVBAは競合するのではなく、共存しているという表現の方が適していると言えるでしょう。
また、情報システムのクラウド移行も進んでいますが、Excelはクラウド上のサーバーにアクセスしてデータを引き出すことも可能なため、データ移行が進んだとしてもなんら支障はありません。
むしろ、そういった仕組みづくりのためにVBAエンジニアのニーズが発生するという状況です。
とはいえ、今後Office製品に代わる新しい技術が開発されることによって、VBAが他に取って代わられる可能性はゼロではありません。
VBAしかできないとなると、万が一求人数が減少した場合、フリーランスとは致命的な事態となるため、VBAのスキルしかないという方は他のスキルも身に付けておくべきでしょう。
6.VBAで稼ぐために身に付けておきたいスキルや経験
ここまでお話してきた通り、VBAのスキルのみで稼ぎ続けるということは少々難しいということはお分かりいただけたと思います。
より高単価の案件を受注するためには、他にも経験を積み、追加スキルを身に付けておく必要があります。
では、具体的にどのような経験を積むべきかをいくつかご紹介しましょう。
他言語での開発経験
VBA案件の中で、VBA以外で必要とされる言語としてC#、Java、Pythonなどが挙げられます。
これらが含まれる案件は、VBAのみの案件よりも単価が高い傾向が強い上、VBAの案件が減少したとしても、他言語を使えることで受注できる案件が枯渇してしまうことを防げるため、身に付けておいてまず損はないでしょう。
オープン系開発経験
VBA案件には外部のデータベースとの連携をさせる内容のものが多くあります。
VBAはMicrosoft製品のアプリケーションですが、連携先のデータベースサーバーもWindowsとは限らず、Linuxなどのオープン系システムである可能性もあります。
また、オープン系で構築されたシステム向けのVBAアプリケーションを開発するケースもあります。
そのため、オープン系の代表格であるLinuxに対応できること、さらにクラウド上のLinuxサーバーを操作するなど、クラウドにも対応できるスキルがあれば大きな強みになるでしょう。
7.まとめ
まとめます。
- VBAだけでもフリーランスにはなれる
- スキルがVBAだけの場合、平均月単価は50万円程度
- VBA案件を効率よく受注できるのはフリーランス専門エージェント
- クラウドソーシングは価格にばらつきがある上、競争率が高い
- VBA案件は当面の間は消失のリスクは低い
- 将来的に他に取って代わられるリスクはあるため、他のスキルも身に付けておくべき
- 追加スキルとして、他言語、オープン系開発経験を積んでおくと〇
まずはフリーランスエージェントサイトで案件を検索してみてください。
現在の自分のスキルで、どのような案件を受注できそうか、どの程度の収入が見込めそうか調べてみると良いでしょう。
スキルが足りないと思った方は、他の経験も積めるようアクションを取ることをおすすめします。