会社勤めをしている人にとって毎月の楽しみの一つ、給料日。
残業をガンガンしているSE/プログラマーが給与明細を見て、なんでこんなに少ないんだ?なんでこんなに色々と控除されてるんだ…と感じることも多いでしょう。
天引きされている内容をよく知らなかった若かりし頃、私自身もなんでこんなに搾取されるんだと理不尽さを感じたことがあります。
そこで、今回は給与から天引き=控除されているものを確認していきたいと思います。
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年収=手取りではなかった!
お手元に給与明細をご用意ください。給与明細の書式は企業によって若干違いがありますが、記載されている内容はほとんど変わりません。
始めに「総支給額」の欄を探してください。ここに記載されている額が、あなたが仕事に対する対価として会社から受け取る金額です。
これを一般的に「額面」と呼びます。
次に見ていただきたいのが「総控除額」。「総支給額」から控除する額の合計です。
そして最後は「差引支給額」です。「総支給額」ー「総控除額」差引支給額となります。
そして、これが「手取り」になります。
この控除されたお金は、会社が皆さんに代わって国や市町村に治めることになります。所謂「源泉徴収」という仕組みですね。お陰で一部の例外を除いて皆さんは確定申告をしなくて済むというメリットがあります。フリーランスの場合はこうはいきません。
控除されるものは大きく分けて二つ
それでは、一体何が控除されているのでしょうか。
「総控除額」をざっくりと分けると、「税金」と「社会保険」に分けられます。
税金は国費を賄うための財源であり、納税は国民の義務です。
直近でいえば、メディアでも話題になっている著名人の所得税未納問題。
所得があるにもかかわらずそれを正確に申告せず、納税していなかったということが大きな波紋を広げています。
企業に属するサラリーマンの場合、その納税を会社が代わりに行うため、総支給額から天引きされているのです。
一方社会保険は、国民の日常生活内の様々なリスクに備える保険であり、生活を保障するものです。
各種社会保険に加入していることで、病院にかかるとき、介護が必要になったとき、様々な場面で保障を受けられるようになります。
勤務先が社会保険制度に加入している場合(基本的には、ほぼ全ての会社が加入しています)、加入条件を満たしている社員は基本的にその社会保険料が給与から天引きされます。
この二つを控除すると、おおよその手取り金額は給与の総支給額の75~80%となります。
それではそれぞれの内容について、少し詳しくご紹介しましょう。
天引きされる税金
①所得税
所得税はその名の通り、所得に対してかけられる税金のことです。
給与の中から、通勤費や研修費等、非課税となるものを控除した金額に対してかかります。
日本では累進課税が採用されていて、所得が多くなればなるほど税率も上がる仕組となっています。
対象の1年の収入は12月31日にならなければ確定しないので、企業は「源泉徴収」という形で、いったん概算した所得税を給与から天引きするのです。
あくまで概算のため、「年末調整」で正確な額が出され、差額分はそのタイミングで精算されます。
②住民税
住民税は居住している都道府県・市町村に対して収める税金です。
前年の所得に対してかかる税金で、翌年6月から1年間同額を毎月支払う仕組みとなっています。
天引きされる社会保険料
①健康保険
怪我や病気で通院する場合、3割の負担で病院にかかることのできる公的な医療保険制度です。
出産や死亡時に対応する制度も設けられています。
基本的にその保険料の半分を会社、半分を自分が負担するという仕組みです。
勤務先が加入している組合や協会けんぽによって保険料率は異なります。
②介護保険
40歳以上になると被保険者となり、加入が義務付けられています。
介護が必要になった場合、1~2割の負担でサービスを受けられます。
ムカつくけど仕方ないです。
③厚生年金
基礎年金制度の国民年金に上乗せという形で、将来年金をもらうための掛け金です。
現時点では支給開始は基本的に60歳となっていますが、今後この年齢が引き上げられる可能性があります。
④雇用保険
雇用保険は、労働者が安定した生活、仕事ができるようにするための保障です。
具体的には、失業時にもらえる失業手当などが該当します。そのほかにも育児、介護、職業訓練などのサポートも該当します。
私は、会社を辞めて直ぐに、フリーランスになってしまいましたので、全く恩恵を受けられませんでした(涙)
希望年収/希望月収はどのくらいですか?に注意
転職の面接でよく「希望年収/希望月収はどのくらいですか」という質問があります。
この時に伝えるべきは、控除前の額面の給与です。手取りしかとっさに出てこないときには、「現状維持の手取り○○円程度を希望しております。」と伝えましょう。
ちなみに、手取りからおおよその額面を知るには、手取り×1.25をしてみてください。
もし正確な額面がわからない場合は、面接の事前準備として給与明細を確認してみましょう。
手取りを増やしたい!天引き、控除される金額を減らしたい!どうすればいい?
基本無理です。
給与の総額を上げるしかありません。
ですから、SE/プログラマーとして適正に評価される会社に転職することをおススメしています。
SES会社や派遣会社に入って客先常駐している場合、元請けのITベンダーが支払う金額から商流によってマージンが抜かれまくった金額が皆さんの会社に支払われ、更に、その金額から高額な役員報酬や本社経費が抜かれても利益が出るラインで皆さんの給与が設定されます。
バカ高い家賃は経費として単金から引かれる訳ですから、社員の給与が上がるはずもなく・・・。全くアホな話です。
このような異常な構造で給料が上がる訳ありません。ですから、自社でITサービスを展開する会社や社内SEに転職しなさいとこのサイトでは繰り返し言っている訳です。
フリーランスになるとどうなるの?
フリーランスになったらどうか?という話ですが、確かに雇用保険を支払うことはなくなり、国民健康保険と国民年金の支払いになりますので、社会保険料の面では若干減るように見えます。
しかし、「所得税」に加えて、「個人事業税」の支払いは必要になります。法定業種に当たらないという意見もありますが、基本は払うものと思っておいたほうがいいです。
社会保険証は毎月、所得税や個人事業税は確定申告で払うことになります。負担感は会社員とあまり変わりません。また、収入(売上)についても、下手をすると商流が深いこともありますので、思ったより儲からないこともあります。
更に、2023年にはインボイス方式の課税が始まります。これは1,000万円未満の所得でも、消費税を払わないということです。ですから、年収700万円~800万円程度のそこそこ稼いでいるように見えるフリーランスエンジニアも、かなり収益としては厳しくなることが予想されます。
色々、悪い点を書いてしまいましたが、フリーランスになるメリットはあります。
身一つで働くことができることから、会社員よりも余計な経費が掛からないことです。
結局、税金や社会保険云々よりもこれが一番のメリットです。
会社を立ち上げたらどうなの?
皆さんは節税のために会社を立ち上げるという話を聞いたことがあると思います。
税金の未払いで問題となった芸人も個人会社を立ち上げていました。
では、会社を立ち上げるメリットには何があるのでしょうか?
それは、経費化できる幅が広がることで、節税(法人税、住民税、法人事業税)ができるということです。
それ以外については、むしろ負担は重くなると思ってください。
なぜなら、健康保険と厚生年金は、皆さんが払う分と同額を会社が追加で払わなくてはならず、仮に自分一人だけの会社であれば、単純にフリーランスが払う額の2倍の負担になるからです。
また、1,000万円未満の所得ならインボイス方式の課税の問題が出てきます。
自分で確定申告が出来なくなり、税理士に多額の報酬を払わなくてはいけないということもデメリットです。
会社を立ち上げるのであれば、社員を抱えて自社でプロジェクトを受注できる位でないとあまり意味がないということです。
まとめ
ご自身の給与から天引きされている内容についてご理解いただけたでしょうか。
社会保険についてはご自身に万が一のことがあった場合に加入していてよかったと思えるもの、安心して生活する上ではあった方が良いものです。
いずれも内容を理解しているとしていないとでは大きな違いがあります。
月給と手取り収入の違いをよく理解し、ご自身の今後のキャリアを考えていきましょう。
そして、まずは収入を上げることを優先して下さい。もし、現在サラリーマンであれば、商流の浅い、元請けのITベンダー、上流工程SEができる会社、自社サービスを持つ会社、社内SEなどに転職することを考えて下さい。
それが、手取りを上げる最も有効かつ手っ取り早い方法です。